市域の北東に広がる台地に、なぜかこんもりと盛り上がった部分があります。これが浅間山です。古代に多摩川が削り残した台地の名残だといい、多摩川対岸の台地と同じ地質であることが確認されています。どうしてここだけ残ったのかは未だわかりません。東から、堂山、中山、前山という3つの丘が“く”の字状に並んでいます。
かつては近隣農家の薪炭林だったのですが、戦争中に陸軍の弾薬庫がわりに使われたために、国有地として保存され、自然が残ったようです。昭和45(1970)年に東京都の公園となりました。
浅間山にはムサシノキスゲという、ニッコウキスゲの亜種にあたる植物が群生しています。ムサシノキスゲはここ浅間山にしか自生していないため、「浅間山自然保護会」という団体が森を整備し、手厚く保護しています。ただ、ムサシノキスゲの日照を助けるためか、堂山北斜面の伐採が過ぎるように思われるのが残念です。稀少種のムサシノキスゲは大事ですが、ムサシノキスゲのみを過保護に扱い、雑木林を下位に見るのであれば、考えものです。ムサシノキスゲが開花する5月上旬には、浅間山自然保護会や日本野鳥の会の地元支部が共催する自然観察会が開かれ、多くの市民が訪れます。
高木はほとんどが落葉樹のため、冬には木に被われた山頂からも周囲の景色がよく眺められます。