多磨霊園は大正12年、東京都が日本で始めての公園墓地として設置しました。当初から武蔵野の自然を生かした設計をしており、実際に墓所として使われている面積は全体の50%以下になっています。特に主要な通路には街路樹が深い森をつくり、また、ところどころにアカマツの大木が見られます。
霊園内には著名人の墓も多く、文学散歩をきどるのも、この霊園の楽しみです。霊園の管理事務所で地図と、「多磨霊園にねむる著名人」という冊子(各50円)を購入すると、その場所がよく分かります。政治家、文人に混じって、リヒャルト・ゾルゲ※などといった意外な名前も発見できます。
春には多くのサクラが咲き乱れ、訪れる人の目を楽しませてくれます。ただし、墓地ですので間違ってもお酒を飲み過ぎて騒がないようにしましょう。
※リヒャルト・ゾルゲ……ドイツ人。第二次世界大戦中に、同盟国ドイツの記者を装って諜報活動を行い、日本の中枢情報をソ連に流していた大物スパイ。その情報力は、御前会議の内容が10分後にはスターリンに届いていたという。ホンマかいな。