府中市は、創建が西暦で111年と言われる大國魂神社を中心に構成された街で、大國魂神社はまさに府中の象徴のひとつと言えます。馬場大門ケヤキ並木も、この神社の参道に植えられています。
大國魂神社は武蔵国の鎮守として創建され、後に府中に国府が置かれると、武蔵総社となります。このとき、武蔵国の重要な6つの神社を合祀したため、六所宮とも呼ばれます。六社を合祀したのは、国司が国内各地にあるこれらの神社をすべて詣でる手間を省くためだと言われます。大國魂神社の例大祭「くらやみ祭」では、これら六社を奉った神輿と大太鼓が巡航します。
江戸幕府やそれ以前の武家政権の比護もあり、かつての社領は500石もありました。明治維新後、社領は返還されましたが、現在でも市内随一の広さを持ち、ケヤキの巨木が多く見られます。社殿南には深い森が大事に保存され、市街地の中心部に多くの緑を提供しています。
しかし、この境内には、なぜかマツだけはありません。古い言い伝えでは、大國魂神社の主神である大国様が八幡様と散歩に出た際、八幡様において行かれ、「待つは嫌いだ」と言ったことに由来するといいます。そのため、府中の正月には、門松に松を使わないそうです。