アジア諸国が欧米諸国の植民地化に苦しんでいた20世紀初頭、日本は中国大陸での覇権をロシアと争い、勝利します。この勝利は、日本が無謀な侵略戦争へと突き進む、妙な自信をつけてしまったというマイナスの側面もありますが、アジアの諸民族が、欧米の力は絶対ではない、ということを知り、民族自決の道を開いた最初の出来事でもあります。
この日露戦争での勝利は、バルチック艦隊を破った日本海軍の力によるところが大きかったのですが、その日本海軍を指揮したのが東郷平八郎です。そして、東郷寺は、その東郷平八郎の別荘跡に創建されています。
東郷寺は府中崖線の上に広大な敷地を有し、貴重な緑地を残しています。その中には「府中の名木百選」に選ばれた樹も3件あります。特に門前の立派なシダレザクラは、高台の上に建つ大きな山門とともに、府中の景勝の一つになっています。山門は黒沢明監督の映画「羅生門」のモデルとも言われ、そのスケールには目を見張ります。
