府中の名木百選 現状リポート

 

府中の名木百選のうち,既にない樹や注意を要する樹の現状レポートです。

府中の名木百選(リスト)はこちら


 既にない樹木のレポート

21.坪宮のエノキ…府中市に問いあわせたところ、平成3(1991)年に枯死したとのことです。

22.多磨霊園のアカマツ…学園通り突き当たりからすぐ南側のゲートを入り、まっすぐの道をほんの50メートルほど進んだ右手に、切り株のみがあります。切られた原因ははっきりしませんが、以前このあたりのマツはマツ枯れ病がはやったようで、倒壊して墓石を破壊する前に切られたものと推測されます。周辺にはマツが見当たりませんが、霊園東部には健康なマツが残っています。

切り株の右にあるコンクリ塊は、
名木案内板を設置した跡だと思います。

37.農工大のコブシ…2003年2月1日時点で2本あった幹が左右に倒壊。西側の幹は完全に倒伏。東側の主幹は大学校舎にもたれかかる形で立っているものの、根が完全に浮き上がり、千切れていました。その後伐採され、現在は残っていません。

 

44.紅葉丘幼稚園のプラタナス…だいぶ以前に廃園となったらしく、近くの紅葉丘文化センター職員も幼稚園があったことを知りませんでした。現在は個人の住宅となっており、廃園時に伐採されたものと思われます。

 

45.西蔵院のプラタナス…府中街道の車道ギリギリに立っていたこの樹は、道路拡張工事のために犠牲となりました。樹が大きく、おそらくは移植も不可能だったと思われますが、樹をよけて道路を造るくらいの柔軟性があればなあ、と残念に思います。
 なお、この樹は1988年の環境庁全国調査で、多摩地域最大のプラタナスであったことが分かっています。

切り株から「ひこ生え」が出ています。
切られてもなお生きようとする生命力には感動します。

 

51.郵政省宿舎のイヌツゲ…倒木の恐れがあり、2000年3月2日にやむを得ず伐採されました。伐採前には幹が真っ二つに裂け、下部はウッドチップ状にボロボロと崩れてた状態で、辛うじて葉をつけていました。


伐採直前の状態
かつては均等に美しく幹を伸ばしていたのですが、
ご覧のように見る影もありません。

右の写真のように、根元裏側はボロボロ。
これでも葉をつけるのだから、樹の生命力は凄いですね。

 


65.代官川崎平右衛門ゆかりのサンシュユ…まず、樹そのものの由来から。この樹は、その名のとおり、代官であった川崎平右衛門の樹です。この人は徳川吉宗の治世に、新田開発を指揮し、貧しい農民の生活向上を図ったため、吉宗から褒美として領地とともにこのサンシュユの樹を贈られたといいます。サンシュユはこの当時、中国から果実が薬用として渡来したそうです。
 中央高速の工事によって、もともと植えられていた場所から若松町に移植され、1991年に郷土の森に川崎平右衛門の像が完成したのを機に、再度移植されましたが、その後の根付きが悪かったのか、枯れてしまったとのこと。現在は新たな株が植えられています。
※と書いたところ、だいきさんから「確かあれは、台風で折れたのが原因で枯れたと思います。」との指摘をいただきました。ウソ書いてゴメンナサイ

郷土の森にある、川崎平右衛門の銅像と、
新たに植えられたサンシュユの若木。

銅像完成時のパンフレット写真には、
後ろに名木銘板があったので、
ここに移植されていたことは間違いない。


73.東芝のニシキギ…株式会社東芝 環境・リサイクル推進センターに照会したところ、ご回答をいただきました。以下はその抜粋です。

 弊社府中工場に確認したところ、お問い合わせのニシキギは現在残念ながら下記経緯により存在しないことが判明しました。
 経緯
・1995年の夏季猛暑による水不足のため、立ち枯れしたと思われます。
・1996年7月に府中市担当者と確認を行い、8月に府中市名木百選のプレートを返却し、当月に伐採を行いました。

 『府中の名木百選』によると、東芝のニシキギは高さ4メートルにも達する、「常識から判断する限り(中略)稀にみる大木」であったそうです。
 株式会社東芝 環境・リサイクル推進センター様のご協力に感謝申しあげます。

 

94.鹿島家のクヌギ(群植)…経緯は不明ですが、現在はマンションが建っています。


 危機に瀕している名木百選のレポート

 

9.武蔵台公園のイヌザクラ…写真集『府中の名木百選』には、地表から10本ほどの幹が伸びていた姿がありますが、現在は4本ほどの幹しか残っていません。病気と思われ、葉も縮んだ状態です。また、一部キノコが幹に生え、枝のあちらこちらからヤニが出るなど、相当の腐食が進んでいるものと思われます。

 
上は枝のひとつ。
見にくいが、至る所からヤニが出て、異様な状態。

左は全景。
名木百選選定当時より幹の数が減っています。

(Nov.27.2000)写真は2000年3月上旬のものですが、その後倒伏しかかり、2000年11月現在では1本の幹が失われております。残った幹も、根が持ち上がり、今にも倒伏しそうな状況です。

 

14.押立神社のイチョウ…幹の上部が折れたのか、強剪定されて無くなっています。名木とはとても言いがたい姿です。

 

41.高野家のシラカシ…幹に虫食い状の穴が多数あり、それを被うようにムシロが巻かれています。枝にはキノコが生え出しており、その葉の茂り具合とは対照的に、かなり弱っているようです。

斜めに出ている枝の上の白いものがキノコ

78.妙光院のボダイジュ幹の表皮はボロボロ、サルノコシカケも2つ生えており、腐朽が進んでいるようです。現在は治療が行われている模様。

樹に付された番号は樹種別リストの番号です。


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