府中高校は府中市北部に位置し、前身は私立の女子高という都立高校です。私の出身校でもあります。
南側、学園通りに面する正門から入り、狭い校庭を過ぎると、かつてこのあたりが一面雑木林だった時代の名残の林があります。その中で最も目を引くのが、見事なアカマツの群植です。正門脇にも見事な枝振りのアカマツがあります。
アカマツは、この府中高校付近から東へ、東京農工大学や多磨霊園、野川公園まで、府中市北部では所々に見うけられます。これは、このあたりの雑木林でアカマツが重要な構成木であったことを証明するものですが、残念ながらほとんどの雑木林が姿を消し、アカマツの群植が見られるのも、この府中高校と、近接する公園『あかまつ林』のみです。
府中高校はもともとが私学であったためか、校舎や校庭が狭いにもかかわらず、雑木林や竹林が広い面積を占めるなど、都立高校としては一種不思議な雰囲気を持っています。南北の校舎の間にも多くの木々があり、北校舎の北側には桜が数本あり、隠れた花見場所を生徒に提供しています。この周辺の都立高校では、他に国立高校にも雑木林が残されていますが、これだけ豊かな緑は、普通科高校では府中高校だけではないでしょうか。
ちなみに、マツタケが生えるのはアカマツ林ですが、府中高校にはありません。雑木林の一角には、昭和天皇が戦災孤児を見舞ったという『お立ち台』が草むらに隠れています。