府中市立府中第五小学校は,明治6(1873)年開学の育幼学舎に起源を持つ、120年あまりの歴史を持つ学校です。学制頒布により開学したこの学校は翌年、小野学舎の開学によって同校に吸収、さらに明治10(1877)年の本宿学校開設でこれに吸収されます。これは、当時のこの地域が4つの村から成り、それぞれの綱引きがあったためです。当時の「村」は現在の自治体と比べて非常に小さな単位で、学校を単独の村が運営するのは財政的に難しかったのです。その後は、奇秀学校→奇秀尋常小学校→西府国民学校→西府小学校→第五小と名前を変え,現在に至ります。
このクスノキは,大正元(1912)年に当時の奇秀学校が校舎を新築したおりにシンボルとして幹径10センチほどで植えられた苗が育ったものです。ということは、やはり100年近い樹齢の樹ということになります。古い学校だけに校庭がゆったりと設けられ、クスノキものびのびと育ったのでしょう、美しい樹形を見せてくれています。
近くには松本家のタブノキ、本宿稲荷のイチョウ、本宿共同墓地のイチョウといった巨木が多く、歴史のある地域だということが分かります。