このケヤキほど可哀相なケヤキもないかもしれません。こう見えても、幹周10mの太さを誇る、東京都内では最大のケヤキ(全樹種では3番目)の巨樹です。だというのに、国・都レベルの保護指定はありません。(市指定天然記念物、府中の名木百選)
その原因は、恐らく周囲の環境と無関係ではないでしょう。ケヤキは廻りをコンクリートブロックで囲われ、その廻りは民家と砂利敷の駐車場になっています。写真を撮るにも苦労する景観です。過去に3度の大火に遭い、著しいやけどを負いました。恐らくは、こうした周囲の環境が、総合的に判断して保護のランクを落としているのではないかと思われます。しかし、この樹の所有者が個人ということもあり、手厚い保護をしていくには限界があるのかも知れません。
火災に遭ったとはいえ、治療を受けたお陰で樹勢は旺盛であり、毎年大きく広げた枝から葉を茂らせています。推定年齢800歳。「馬場大門ケヤキ並木」などの知名度に押され、市民の認知度も悲しいほど低いケヤキですが、府中で最も高齢なケヤキであることは間違いありません。このままいつまでも長生きしてほしいものです。