推定樹齢約900年、幹回り約9.1メートル,樹高約20メートル。大國魂神社の御神木は間違いなく府中を代表する樹です。幹回りは市内では矢島稲荷の大ケヤキに次ぐものであり、「日本銀杏見立番付」によると、全国的に巨樹が多いイチョウの中でも33番目(都内では港区・善福寺のイチョウに次いで2番目)の太さだそうです。樹齢では矢島稲荷の大ケヤキを約100年上回るとされ、鎌倉時代以前から府中の歴史を見守ってきた最高齢であることは間違いありません。
残念なことは、落雷により主幹が裂け、中央がなくなっていることです。また、御神木とはいえ、人の願いを叶えるために身を削ってきた歴史もあります。というのも、この大イチョウの根元に生息するキセルガイ(陸産貝類?)を煎じて飲むと、母乳の出がよくなるという言い伝えから、根元を掘り起こされ、根が痛められてきたそうです。イチョウは巨樹になると、気根というものが枝から垂れてきます。これが、女性の乳房に似ていることから、各地で安産や母乳の出が悪い女性に信仰されてきました。大國魂神社の大イチョウも例外ではなかったということです。
既に明治時代の記録で幹回り3尺。ほぼ9メートルあったとされています。尺度の誤差もあるでしょうが、この100年でほとんど太っていない(どころか細くなっている!)ということになります。もはや老年期の樹ですが、これからも府中のシンボルのひとつとして、府中の歴史を見守ってほしいものです。