東京農工大のキャンパスは、豊富な緑に覆われています。その中に、一風変わった雑木林があります。場所は農学部本館の裏(東側)、何棟かの建物に囲まれた緑地帯の片隅で、緑地中央に丸い池があり、その南側は雑多な感じのする植え込み、北側に件の雑木林があります。
一見したところでは、何の事はない雑木林のようですが、よく見ると、この雑木林の優占種はカツラという樹だということが分かります。このカツラという樹、別に珍しい樹というわけではありませんが、水辺を好む樹なので、府中市内でよく見かける樹でもありません。そんな樹がまとまった本数で生えています。写真のカツラは、この雑木林でも特に大きな樹で、大木の仲間と言って差し支えないでしょう。樹齢は約100年とされています。
カツラ主体の雑木林がここにある理由は、おそらく古い地質と関係があります。農工大ができる前、このあたりは窪地があり、ここから水が湧き出して浅間山方向へと流れていました。このあたりを歩いてみると、確かに農工大の学内や天神町の住宅地のなかに、水が流れたと思われる高低差が見つかります。農工大にあった水源からどの程度の湧水が流れ出していたのかは今となっては分かりませんが、水辺を好むカツラが大きくなるのに十分な水量があったことは間違いありません。
ところで、カツラの葉はハートの形をしているとよく言われます。カツラは全国で巨樹がたくさんありますが、神社などにあるカツラの前では、葉の形のせいか、恋愛祈願をするカップルもよく見かけられるそうです。
農工大のカツラの葉。ハートっぽい丸い葉をしています。
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雑木林の北側には、農工大キャンパスの旬な自然の情報が掲示されるボードがあります。散策のついでに、情報を仕入れていくのも楽しいでしょう。
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