大國魂神社には、境外地の馬場大門ケヤキ並木を含めて、非常に多くのケヤキの巨樹がありますが、その中で最も太いケヤキが、この社殿西側のケヤキです。府中本町駅側にある、大國魂神社西参道から境内に入る手前の右手に、自動車の御祓いをするための駐車場があります。そこに入ってしばらく進むと、通路の右手に巨大な幹がそびえています。
このケヤキは、太いだけでなく、樹高も高いのが特徴です。普通、巨樹というと、幹の上部は長年の風雪や雷などによって失われていることが多いのですが、このケヤキは、大國魂神社の豊かな社叢林のひとつとなっていることもあって、これらの害を直接的に受けにくい環境にあるようです。
ケヤキとしては東京都内4番目の巨樹でありながら、あまり知られていないことが、この樹の環境を守ってきたとも言えるかも知れません。一見したところでは、この樹の幹はとても均整が取れているために、それほどの巨樹に見えません。近づいてみて、はじめてその大きさが分かる樹なので、あまり人の気を引かなかったのでしょう。近年、巨樹への関心が高まっていますが、それが樹の生息環境を悪化させている面も否定できません。その点、このケヤキはこれからもひっそりと生きていけるのかなあ、と思います。気がかりがあるとすれば、近くを通る府中街道の排気ガスが濃くならないかどうかです。