三島ノ白樫

 房総半島は低山が連なっています。低いので稜線はなだらかですが、川の浸食が激しい場所もあります。この場所もそういったところで、人工湖がくねくねと入り組んでいます。国道410号線、豊英トンネルをくぐってすぐ左の道に入り、またすぐに右の道へ折れ、豊英湖にかかった橋を渡ります。すると風景は一変し、周辺は湖の深い谷とは対照的に、緩やかな田園風景が広がっています。二股の道を右に入り緩い坂を登った左手に、目的のカシがいます。

 訪れると、所有者の方が裏山へ案内してくれました。道から見えた大きな樹形は、実は全然違う樹で、カシの樹はその背後にひっそりと隠れていました。

 シラカシとなっていますが実際にはウラジロガシ。緩い尾根に立つウラジロガシの主幹は既に失われ、2本の大枝が民家とは反対側の斜面に向かって伸びていました。かつては反対側にも広く枝を伸ばしていたそうで、所有者の方が「あの辺まであったらしい」と指す電柱は30m以上も離れた場所にありました。しかし現在、片側にのみ残った枝は、近い将来この樹が重量のバランスを失い、谷底の湖へと転げ落ちるのではないか、という心配を覚えさせます。

 裏側へ廻ると、小さな石造りの祠がありました。やはり古くから信仰があったのでしょう。縦に伸びた2本の幹は、このウラジロガシのものではありません。しかしこの若木がしっかりと根を絡ませ、ウラジロガシの倒伏を阻止しているのかも知れません。 

三島ノ白樫を訪れる際には以下の点に注意してください。
このシラカシは個人住宅の敷地内にあります。必ず所有者の許可を得てから見学してください。勝手に立ち入ったり、所有者に迷惑をかけるような行為はもってのほかです。

 

三島ノ白樫(三島のシラカシ、三島の白樫)

場所 千葉県君津市豊英504番地ほか
交通 JR内房線 君津駅からバス「森林館」行き 「豊英」下車歩
樹のデータ 幹周7.27m 樹高約20.9m 根回り8.33m(昭和2年調査)
保護制度 千葉県指定天然記念物

MapFanWebで場所を確認する。


トップページへ

Copyright(C) 2001-,ManoJuhske,All rights reserved

inserted by FC2 system