ハルニレは、分布的には北海道から九州まであるとされていますが、実際には北海道以外では、あまり目にすることのない樹です。
だというのに、神奈川県のど真ん中にいる、この有馬のハルニレは日本最大のハルニレです。もちろん、見ての通り、かなり痛みが激しいのですが、ここまで育ったということは、ここの環境がかなり合っていたということになると思います。しかし、このあたりにはやはり見られない樹だけに、ナンジャモンジャの一名が付いています。
もともと、この樹は植栽されたもので、徳川3代将軍家光の御典医をしていた半井驢庵(なからい・ろあん)という人物が朝鮮半島から持ち帰り、ここにあった下屋敷の門前に植えたものだそうです。門前ということは当然1対だったのですが、明治時代に1本は火災で焼失したといいます。
訪れた際、ハルニレの正確な場所を示す地図がなく、少々探しましたが、割合交通量の少ない道路沿いにいるのを見つけました。道路の向かいは発電所ですが、ハルニレの裏手は空き地で、日当たりは抜群。南の方には県の畜産試験場もあり、なんだか北海道そのものといった雰囲気の中にいました。
現在は樹勢回復処置の最中のようで、洞には竹で作った覆いが被せられ、ピラミッドのような支えで囲われていました。しかし葉もしっかりと付いていて、一生懸命生きているよ、と言っているようです。まだまだ、頑張って生きてほしいものです。