平塚総合公園の樹木についてはこちらとこちらで紹介していますが、いずれも平塚市保全樹となっています。このリストを平塚市のウェブサイトで見つけ、眺めていると、もう1件、平塚総合公園に近い場所に保全樹がいることに気付きました。以前、電車を利用して平塚競技場に通ってた頃、バスで通る道沿いで、何で気付かなかったのだろうと笑ってしまうような場所でした。
今まで気付かなかったくらいだから、そんなに凄い樹ではないかもなぁ、と、あまり期待していなかったのですが、度肝を抜かれました。何が凄いって、この気根です。単純に太さや高さだけ見ていたら、まあ大きいね、で済んでしまうかも知れません。しかし、これだけ多くの、そして、長く垂れた気根が垂れたイチョウに神奈川県で出会ったことがありません。また、お寺の方に伺ったところ、これだけの気根が垂れているにもかかわらず、この樹は多くの銀杏をつけるのだそうです。雌の樹で気根が多いものは少なく、とても珍しいと思われます。
ちょうどイチョウの根元に水子地蔵が建立され、そのお祝いをこれから行うという時に訪れたため、根元付近が一部、紅白の幕で隠されてしまっていましたが、僅かに治療を受けた痕跡が覗いていました。葉や細枝の数が少なく、全体的にやや元気がありません。平塚市のサイトには、1993年に大掛かりな治療を受けたとあり、まだ回復中のようです。あるいは、北側が住宅なので、定期的に剪定しているのかも知れません。
このあたりのバス停には、「中原下宿」とか「中原御殿※」といった名称があります。ここはどうやら古い街道筋の宿場のようです。現在でも平塚から伊勢原へ向かう道筋で、伊勢原から先には、関東で広く信仰されている丹沢の大山があります。古い街には、やはり巨樹がいるものです。