野間の大ケヤキ

 武蔵野の民である私が最も好きな樹がケヤキ。そのケヤキで、全国的に見ても大きく、かつ樹形が美しい樹として、いつかは野間の大ケヤキに逢いたいと思っていましたが、今回あっさり?と叶えることができました。

 大阪府能勢町といえば、関東の所沢と双璧をなすダイオキシン問題の中心地。果たしてどんな所なのだろう、と若干の心配をしながら向かったのですが、山に囲まれた、穏やかな農村といった雰囲気。豪奢な民家がとても多いのがまた興味をそそられるところです。

 その農村地帯の中心に、野間の大ケヤキはどっかと鎮座していました。幹周12m。主幹を治療した痕が見られますが、全体的に美しい樹形でかつ、大きい。また、開けた場所に単独でいるため、周囲からの見通しがよいことも、この樹のすばらしさを引き立てています。能勢町では、この大ケヤキの周囲を公有化し、公園にすることにしていて、現在整備にとりかかっています。公園化というと、見世物パンダのようになって、樹の健康状態に影響を与えてしまうのではないか、という危惧もありますが、ここでは既に樹の周りを大きく柵囲いして保護しており、心配はいらないようです。

 むしろ気になることがあるとすれば、大量のヤドリギでしょうか。芽吹き前のケヤキには、一見、芽吹きかと勘違いしてしまうような濃い緑の球状の塊がたくさん見られます。これが寄生植物のヤドリギ。鳥が好む実をつけるのですが、これが粘りがあり、鳥は排泄の際におしりを樹にこすりつけて粘りを取ろうとします。その中に種があり、樹に着生すると、枝の内部に侵食し樹から養分・水分を奪うのです。私の地元・府中のケヤキにもヤドリギはありますが、1本の樹にこれだけ多くのヤドリギを見たのは初めてでした。この樹が単独樹だということが、その大きな理由でしょう。これだけの寄生植物がつくと、樹勢が心配されます。

  ところがこの樹にも「たたり」の伝承があり、枝おろしをした人が腹痛になった、という話があるそうです。そうなると、地元の人はヤドリギ退治のための枝打ちをしようとはしないでしょう。ヤドリギも運がいいのか、それとも賢いのか?

 

野間の大ケヤキ

場所 大阪府豊能郡能勢町野間稲地266番地
交通 能勢電鉄線 妙見口駅からバス「稲地」下車歩
樹のデータ 幹周12m 樹高約25m 推定樹齢1000年
保護制度 国指定天然記念物

Mapionで場所を確認する。


Copyright(C) 2002,ManoJuhske,All rights reserved

inserted by FC2 system