広徳寺のイチョウ

 広徳寺は1390年代に開山したとされる古刹で、広い境域は東京都の史跡に指定されているほか、総門・山門(あきる野市指定文化財)、カヤタラヨウ(東京都指定天然記念物)など文化財の宝庫です。最近、本堂も改修され、真新しい茅葺屋根が威容を誇っています。

 イチョウは山門の内側に、参道を挟んで一対があります。まだ境域に雪が残る1月末に広徳寺を訪れた際には、荒々しい巨体をさらしていました。

 高さ10mほどでしょうか、主幹の頂点付近は幹が膨らみ、大枝からはたくさんの気根は垂れて複雑なシルエットをつくっています。それが1本ではなく2本あるのですから、訪れる人は間違いなく驚くことでしょう。

 ところが、こんな凄いイチョウにもかかわらず、どういうわけか、何の文化財指定も受けていません。もちろん文化財指定があればいいというわけでもないのですが、前述したように文化財のオンパレードである広徳寺にあって、この一対のイチョウだけが何の指定も受けていないのは、奇妙としか言い様がありません。

 1998年の環境庁全国調査でも、この一対のイチョウは資料に記載されていません。というより、当時の五日市町からの報告は、同じ広徳寺のカヤ光厳寺の白山桜だけでした。双方とも既に文化財の指定がされていたことを考えると、1988年には何の調査もされなかったと推測されます。広徳寺のイチョウが世に紹介される機会を失ったことは、幸福なことだったのでしょうか、それとも不幸なことだったのでしょうか。イチョウは黙して語りませんが、訪れた人は、彼の素晴らしさを実感することでしょう。

Nov.08.2001

 

広徳寺のイチョウ

場所 あきる野市小和田234 広徳寺
交通 JR五日市線 武蔵五日市駅 徒歩30分
保護制度 東京都指定史跡(広徳寺境域)

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