北野天満神社のケヤキ群

 東京の樹でもケヤキは多数紹介していますが、都区内ではその数は非常に少なくなっています。これは一般にニレ類が大気汚染に弱い、地下水を大量に必要とする、等の理由があります。特に、大気汚染には非常に弱いとされていて、幹線道路の街路樹にはあまり適さないとも言われています。

 さて、国道16号といえば、東京環状の名称を持つ幹線道路です。神奈川から内陸をぐるっと千葉まで繋いでいて、その交通量は非常に多いため、当然空気は綺麗と言いがたいのですが、その国道16号沿いにケヤキの巨木群があると聞き、訪れてみました。

 八王子で国道16号は大きく2つに分かれます。一本は八王子の市街地を抜け、一本はバイパスとして市域の東側を抜けています。そのバイパスと京王線の高架が交差するすぐ北側に、目的の北野天満神社がありました。

 一歩境内に踏み入れて、非常に驚かされました。幹周3.5mから5.3mという立派なケヤキが6本もいるのです。単独であれば、確かにこの程度の太さのケヤキは他にもたくさんいます。が、この太さのケヤキがまとまって存在しているのは、東京都内では非常に珍しいものと言えるでしょう。単に太いだけでなく、鳥居の脇にいる1本だけがかなり弱った様子でしたが、その他の5本のケヤキはとても健康であるように思われました。また、茂みのすぐ西側は国道が走っているというのに、空気がとても綺麗でした。多くの葉をつけた樹木が排気ガスの流入を防いでいるようです。

 社殿向かって左側には小さな池があり、その西側と東側にそれぞれ1本のケヤキがいます。西側、国道を背後に立つケヤキがこの杜の主のようです。池畔の2本のケヤキは、その姿からどちらも合体樹のように思われました。他の4本はいずれも単木が成長したものと思われます。

 社殿脇の池は、コンクリートで覆われているようですが、ひょとしたら昔は湧水だったのかも知れません。付近には川も流れていますし、その川を挟んで南側には多摩丘陵があります。昔から地下水が豊富で湧水もあり、その湧水の恵みで巨樹が育った、と考えると、そこに社が立つのはまったく不自然なことではありません。もしそうだとしたなら、ここに国道のバイパスを走らせてしまったことは非常に不幸なことのように思われます。

 

北野天満神社のケヤキ群

場所 八王子市北野町284番地 北野天満神社
交通 京王線 北野駅 徒歩5分
樹のデータ 最大:幹周5.3m 樹高約20m
他  幹周4.5m 樹高約18m、
    幹周4.5m、樹高約15m(1993年「八王子市巨樹・名木調査」)
    幹周3.8m 樹高約14m、
    幹周3.6m 樹高約19m、
    幹周3.5m 樹高約25m(1988年「環境庁 巨樹巨木林全国調査」)
(上3本の数値は環境庁調査のものと違うため、新しいデータを優先しました。)
保護制度 指定なし

Mapionで場所を確認する。


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