秋葉のクロマツ

 高級住宅地として知られる田園調布は、確かに高級住宅地ですが、ものすごく起伏の多い街でした。私ならこんなところに住みたくないぞ、とか思ったりします(負け惜しみ?)。

 その田園調布には都内有数のマツの巨樹がいます。田園調布駅から丘を登り、下り、また登ると、向かいの丘の上にようやくその姿が見えてきます。もう一度下って登ると(といっても道順は多少複雑ですが)、ようやく都天然記念物の秋葉のマツにたどり着きます。小岩・善養寺の影向のマツ調布市・虎狛神社のクロマツ(枯死)とともに、都内三大巨松とされています。 

 根元は狭く囲われていて、決してマツにとって快適といえる様子ではありません。しかし、針葉樹の巨樹の多くが、このような痩せ尾根の上に立っているなど、環境的に厳しいところにいることが多いのも興味深いことです。このあたりは多摩川に近く、秋葉のクロマツがある尾根から多摩川にかけて、急にマツが目立つようになります。しかし、秋葉のクロマツの大きさは群を抜いていて、不思議なくらい大きな樹です。考えてみれば、河川に近いところは樹木が育つにはいい条件があるかもしれませんが、逆に河川の氾濫などで被害を受ける可能性もあります。秋葉のクロマツがこれほど大きくなったのは、長く生きてこられたからかもしれません。

 ただ、尾根の上の高木なので、今後は落雷の危険を考えなければいけないかもしれません。私が訪れた日も、青空が見えたかと思えば、途端に激しい雨が打ちつけ、すぐに止むといった不安定な気象状況がありました。虎狛神社のクロマツが枯死した理由も、落雷とその後の病虫害で、決して起こりえないことではありません。これだけの美しい巨樹ですので、その樹形は崩さず生き続けてほしいものです。

 田園調布駅からの道順は多少複雑ですので、駅前交番の脇にある案内地図をよく確かめてから訪ねるといいでしょう。真北1.2kmほどのところにある九品仏(浄真寺)には、都指定天然記念物のカヤイチョウがいます。

 

秋葉のクロマツ

場所 大田区田園調布5丁目3番地の19
交通 東急目蒲線 田園調布駅 徒歩15分
樹のデータ 幹周4.0m 樹高約17m(1988年環境庁調査)
保護制度 東京都指定天然記念物

Mapionで場所を確認する。


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