東京の春、ウメとサクラの花期の隙間に大きな花をつけるモクレンは、大柄な割に花の形が美しく、私の好きな花のひとつです。といっても、嫌いな花などあまりありませんが。
このハクモクレンの大木に出会ったのは2000年の春。新宿で時間が余った私は、せっかくなら街中のゴミゴミしたところではなく、新宿御苑で昼寝でもするか、と思って新宿御苑に行きました。しかし、せっかちな性格の私のこと、昼寝なんてできないのです。結局、隅から隅まで新宿御苑をうろつき回りました。
ハクモクレンの大木は、苑内西側に近い茶室のそばにありました。これは凄い大木だなあ、と思ったら、やはり樹の前の解説板には「都内随一の大木」と書いてあります。実際に最大のものかどうかは分かりませんが、ハクモクレンでこの大きさはそうそうお目にかかれないでしょう。ほとんど枝打ちをされたことがないのでしょう、まったく自然な樹形をしています。とても幸せな樹です。
新宿御苑は国民公園といい、環境省が直接管理する公園のひとつです。古くは高遠藩(信州)の下屋敷、明治に入ると近代農業の試験場を経て宮内省の植物御苑になりました。この時期、欧米から多くの植物が持ち込まれ、街路樹の苗圃の役割を果たしました。この時期の樹木が、現在では苑内のあちこちに巨樹となって残っています。