この樹の写真を最初に見たのは、ramukaさんの「森の神」でした。森の中から頭一つ飛び出したその姿は、まさに静かな森の神といった姿でした。
その姿を期待して訪れた私は、少なからぬ衝撃を受けることになります。写真のとおり、里側の斜面が完全に切り開かれ、根元まで姿が丸見えなのです。周囲が完全に人工林で、何かの理由で皆伐されてしまっていたのです。これだけ一気に伐採してしまうと、土砂崩れが起こらないかと心配してしまいます。
とはいっても、ツガ自身に手が入れられたわけではありません。見通しがよくなったため、アプローチのルートがわかりやすく、簡単に根元まで近づくことができました。
稜線の片側にわずかにずれて立つツガの根は、反対側の斜面に向かって太い根を伸ばし、がっしりと尾根をつかんでいます。根元には古い石の祠が置かれ、神酒を供えてあります。古くからこの集落の山の神様として崇められてきたことを示しているようです。麓からは美しい姿を見ることができ、見下ろすと、集落が一望できるこの樹は、まさに神様と呼ぶに相応しい樹です。
輪光院は、桃山時代には創建されていたと思われる曹洞宗の古刹ですが、現在は小さな祠があるのみの無人のお寺になっています。