2001年はサクラの開花が例年より1週間も早く、花見のスケジュールが合わなかった方も多かっただろうと思います。私も、この樹の花を見てみたいと、1月の末から思っていたのですが、例年16日頃満開になるこの樹が今年はいつ満開になるか、気が気ではありませんでした。1週間ほど早いだろうと目星をつけて11日に行ってみると、みごとにほぼ満開という姿を捉えることができました。
東京都には3本のサクラの巨木があるそうです。1本は国特別天然記念物・大島のサクラ株、次に都天然記念物・三宅島の神着のオオザクラ、そしてもう1つがこの光厳寺の白山桜です。2本は伊豆諸島、しかも三宅島には現在訪れることはできませんから、本州住民が比較的容易に見ることのできる最大のサクラということになります。
市街地などにあるソメイヨシノの花に比べれば、この樹の花は非常に地味です。樹自体のスケールに比べて、花があまりに小さく、また幹を覆うだけの花がつく枝が維持できないこともあります。しかしこの樹には、交配種で100年とはもたないソメイヨシノにはない奔放な力強さがあります。なにしろこの樹の推定樹齢は400年なのです。
私が見に行ったこの日、他に8人ほどのカメラマンが思い思いにカメラを向け、あとから10人ほどのご婦人方の団体とカップルが来たくらいで、花の盛りの割に比較的静かな雰囲気でした。これが全国的にも有名な桜の巨樹などともなると、押すな押すなの大騒ぎ、周辺は大渋滞になり、カメラを構える場所をめぐって争ったり、周囲の迷惑も考えないで大騒ぎしたりと大変なようです。この桜が見た目地味なこと、交通の便もよくないこと、巨樹の割にマイナーなことは、狂乱状態にならないためにも好都合なのかもしれません。
光厳寺のある武蔵五日市周辺には、国天然記念物のシダレアカシデや、イチョウ、カヤの巨樹とタラヨウの大木がいる広徳寺など、一見に値する樹が豊富にあります。近くに行かれる際にはぜひ寄ってみてください。