賀恵渕のシイ

 房総半島の低くなだらかな山々に囲まれた、小櫃川沿いの内陸部。盆地状に開けた稲作地帯の中に、その巨樹はこんもりとした森をつくっていました。千葉県3大シイのひとつ、賀恵渕のシイです。

 写真では見ていたものの、その独特な樹形には目を見張ります。第一印象は「登ってみたい樹」。とにかく登りやすそうな枝ぶり。東に向かって水平に伸びている大枝など、その上に腰掛けられるようにあつらえたような感じもするのです。しかし天然記念物として保護される文化財ですから、うずうずとしても登ってはいけません。

 大枝は真東の方向に伸びたものが目立ちますが、もっとも枝張りが大きいのは南の方向。面白いことに西側にはほとんど枝が伸びていません。訪れた当日、風は緩く西側から吹いていました。ひょっとしたらこの風が長い時間をかけて、賀恵渕のシイをこのような樹形にしたのでしょうか。定かではありませんが、この日の巨樹巡りでは「風」というキーワードが最後まで頭から離れない原因のひとつとなりました。

 

 枝の凄さばかりが目に付くシイですが、とにかく健康で力強さを感じさせます。枝が失われた跡も多数ありますが、これは人が人為的に伐採したというよりも、樹自身が不要になった枝を自ら腐り落としたといった印象があります。恐らく里の人々は、その手助けをしたに過ぎないような気がしました。

 

賀恵渕(かえぶち)のシイ

場所 千葉県君津市賀恵渕164番地
交通 JR久留里線 小櫃駅 徒歩15分
樹のデータ 幹周8.5m 樹高約21.7m 枝張り東16.3m、南21.0m、北12m 推定樹齢600年
(現地解説板による)
保護制度 君津市指定天然記念物

MapFanWebで場所を確認する。


トップページへ

Copyright(C) 2001-,ManoJuhske,All rights reserved

inserted by FC2 system