1988年の環境庁調査ではケヤキとしては全国2位の幹周が報告された巨樹ですが、様々な機会に見る写真は、その根元の悲惨な状況を伝えるものばかりでした。
中央の主幹が失われ、東西にV字型に広がった支幹が写った写真は、この樹が相当なダメージを受けていることと、これを1本の幹として計測している幹周の数値には無理があるのではないか、という印象を受けます。それゆえ、訪れるまで、このケヤキに対してあまり良い印象を持ってませんでした。
ところが、車で近づくにつれ、大きな樹冠が見え、新緑の淡い色が全体に広がっていることに、少なからぬショックを受けました。死にかけた古木ではありません。大きなダメージを受けながら、それでも懸命に生きていることを高らかに訴えていたのです。
中央部に大きなダメージを受けているケヤキは、支えなしでは両側に倒壊する恐れがあります。南側からは繋がって見える根元も、北側に回りこんでみると完全に切り離され、大きな空間が広がっていました。特に西側の大きな幹は、その内部がほとんど空洞化しており、上部を塞がれていました。それでも、残っている樹皮で水分と養分を吸い上げ、瑞々しい若葉をたくさんつけています。