東京都立大学は南大沢の小高い丘陵の上にあります。その丘陵の南斜面は、東京都が所有する保全緑地になっています。
その緑地の一角に、オオツクバネガシのいる八幡神社があります。鳥居をくぐり、石段を登ると、右手に解説板と、緑の濃い塊があります。枝が地面付近にまで垂れていて、葉が幹を隠しているのです。その枝をよけ、幹に近づいてみると、北側の健康そうに見える幹と正反対に、南側にはぽっかりと大穴があいており、それはほとんど幹の皮だけを残して、内部がすべてくり抜かれたような状態になっています。
この幹の大穴は1877年の神社の火災によるものだそうで、一時は枯死したかと思われるほどの被害だったといいます。
見かけの樹勢はすばらしく、まったく健康そうに見える樹なのに、この幹の状態には驚かされます。逆にいえば、これだけ幹にダメージを受けていながら、とても樹勢が旺盛な樹であるとも言えます。このあたりは都立大の丘が涵養する地下水が湧き出すところで、水の供給にはまったく困りません。また逆に、日当たりがよく、腐食が進むというような環境でもありません。樹の生命力にはたびたび感心させられますが、このオオツクバネガシはその生命力あふれる樹の代表格といってもいいでしょう。
オオツクバネガシというのは、アカガシとツクバネガシの中間種として高尾山で発見されたものです。ツクバネガシは、羽根突きの羽根のような葉と実がなることから名づけられたものです。