牛込柳町駅の西口から出ると、その正面に、ビルの陰から2本のイチョウが頭を覗かせているのが見えます。1本は枝振りがきれいに纏まった樹形、もう1本はやや崩れた樹形をしています。さてどっちだろうと向かってみると、2本のイチョウは本堂に向かって右側にある小さな墓地の中に立っていました。
墓地入口に近いほうが、樹形の崩れたイチョウで、こちらが区の天然記念物に指定された樹でした。大枝の欠損があり、やや小枝も少なく、そのため少し葉の茂りに隙間が目立ちます。
もう1本は墓地の奥、手前の樹とは10mほど離れて立っていました。こちらの樹勢はかなり良さそうに見えますが、手前のイチョウが根元を木道で保護され、土の地面が広く取られているのに対して、奥のイチョウは根元にシュロがたくさん植えられたり、墓石が根元近くまで立ち並んだりと、あまり状況は良くありません。
手前のイチョウが雌、奥が雄の樹のようで、手前の樹にはギンナンが落ちた跡が地面にみられましたが、木道に染みがある程度で、落ち葉は根元に綺麗に掃き集められたりしていました。頻繁に掃除されているようです。大事にされている証拠ですね。都内のイチョウとしては、「とても大きい」という部類ではありません。しかし新宿区の早稲田付近ということを考えると、地域的には数少ない巨樹であり、区内でも新宿御苑のプラタナスに次いで2番目に太い樹です。巨樹のほとんどが新宿御苑に集中する同区では、本当に重要な樹といえます。末永く大切にしてほしい樹です。