防風ネットに覆われて、なんだか姿のわからない樹の登場ですが、この樹が東京最大の幹周をもつカヤ、高勝寺のカヤです。2001年の2月に訪れたときは、ネットを張っていない部分もあったのですが、今回訪れたのが台風の後だったせいか、厳重にネットされ直してあり、樹の様子がより一層わかりにくくなってしまいました。
ネットを張り直していることからも、この樹が樹勢回復処置を受けている最中だということが分かります。調べてみると、ある造園会社のウェブサイトに、2000年10月から土壌改良を主とした処置を受けていることが記されていました。
この樹の根元すぐには、京王相模原線が通っています。ちょうどこのあたりは山間部なので、相模原線は切り通しになっているのですが、この建設の際、カヤの根を3分の1も切ってしまったといいます。それだけ切ってしまえば樹勢も衰えて当然。十分な水と栄養を受けられず、カヤが自分で枝の数を減らしてしのいでいるのが分かります。多摩ニュータウン開発にあたっては、恐ろしい数の樹がなぎ倒されてきました。切られてしまうよりはマシかも知れませんが、人間のすることの浅はかというか、酷いというか。
美観上など、あまり良い点などないようにも見えますが、近づいてみると、さすがは東京最大の幹周とあって、その主幹の太さには迫力があります。ネットの下から上を覗き込んでみると、枝が少ない分、太い主幹がまっすぐに伸びている様子もわかります。
気のせいか、以前より枝葉の量が減っている気がします。あるいはネットを張り直したせいでそう見えるだけかもしれませんが、早く樹勢を取り戻して、ネットなしでカヤと対面できる日がくることを願っています。それが適わない願いだとしたら、恐らく人間もその報いを受ける時が来るのではないか、台風情報を聞きながらふと思うこともあります。