万年橋のケヤキ

 兵庫県には、ケヤキの根が小川を渡っているので、木の根橋と呼ばれるケヤキがあり、有名ですが、東京にも木の根橋があります。それが万年橋のケヤキです。

 もっとも、こちらは自然の河川ではなく、玉川上水がら分岐した野火止用水という用水路を渡っています。用水路の掘削時にこの木の根の下をくぐって掘ったのか、用水路ができてから木の根が伸びたのか、はっきりしません。しかし、橋のなかった時代、人々がこの木の根の上を渡っていたことだけは確かで、万年保つからと、この名がついたようです。

 このケヤキ、1996年9月に台風で大幹が倒れるという事件がありました。実はこのケヤキはもともと2本のケヤキの合体木だったようです。樹高30m近い東側の幹が倒れたにもかかわらず、幹は狙ったように道路に沿って倒れ、付近の住民を驚かせました。まったく人や建物に被害を与えなかった(多分電線は切れたでしょうが)というのですから、周辺の人々は樹にも意思があると感じたことでしょう。この平成の時代にも、伝説というものは生まれるものです。そして、それは人知の及ばないことがまだたくさんあるのだ、ということを教えてくれます。

 片方の幹が倒れ、やや見た目のバランスに欠ける樹になってしまった万年橋のケヤキですが、用水路を渡る木の根は無事ですし、残った幹の健康状態も悪くありません。今度車道の橋を架け替えるときには、木の根橋が良く見えるように工夫してほしいものです。


根の下を野火止用水が流れる。
どうやってこの根ができたのだろう。
樹のちからとは不思議なものだ。

 

万年橋のケヤキ

場所 東村山市恩田町1丁目1番地1先
交通 西武新宿線 久米川駅 徒歩20分
保護制度 東村山市指定天然記念物

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