横倉邸のケヤキ並木

 人見街道という古い街道があります。江戸時代には多摩と江戸を結ぶ生活街道のひとつで、現在は杉並区の大宮八幡宮あたりから府中市の航空自衛隊基地までを辿ることができます。

 街道筋にはかつて、農家の屋敷林が続いていて、古い絵や写真には、ケヤキの大木が鬱蒼と影を落とす様子が伺えます。現在も、その名残のケヤキの大木を街道筋の至る所で見ることができます。

 横倉邸のケヤキ並木もそうしたケヤキの一部で、人見街道の東の端に近いあたりにあります。屋敷林の名残の一部で、街道沿いに並木状に植えられたケヤキの群植です。さらに詳しく言うと、すべてのケヤキが一列に並べられているわけではありませんが、おおよそ並木と呼んで差し支えないでしょう。東京都の天然記念物に指定されているのですが、資料があいまいで、一体どのケヤキが指定されたものかは特定できませんでしたので、ここでは天然記念物指定とは関係なく、道路沿いのケヤキを一括して紹介します。

 「横倉邸」と言っても、現在も横倉邸があるわけではなく、マンションや個人の家、住宅展示場の敷地に分割されてます。付近には天然記念物を示す標識はほとんどなく、わずかに住宅展示場敷地内の数本に、消えかかった木製の看板が添えられてるのみです。

 この横倉邸のケヤキ並木、すべてのケヤキが統一された保全策を採られているわけではありません。美観のためにツタを這わせたり、根元まで舗装したりと、残念ながら天然記念物の扱いとしては悪い状態と言わざるを得ませんが、都内の古いケヤキとして貴重な群植でしょう。

 


横倉邸のケヤキ群の中でも最も大きなケヤキ
ツタが這わされているのが残念

 

横倉邸のケヤキ並木

場所 杉並区高井戸東3丁目
交通 京王井の頭線 浜田山駅 徒歩10分
保護制度 東京都指定天然記念物

Mapionで場所を確認する。


トップページへ

Copyright(C) 2001-,ManoJuhske,All rights reserved

inserted by FC2 system