檜原村役場からすぐ西側に、秋川に掛かる橋があり、ここから道が二手に分かれています。その右側の道に折れ、ほんの少し歩くと、右手に春日神社の鳥居が現れます。社殿のまわりには大きなスギが何本も立っていますが、目的のケヤキは本殿の裏、崖っぷちに張り付くようにいます。
この樹は大きい。場所がいいのでしょうか。崖っぷちで陽があたる方向ですし、崖の下は秋川で水は豊富ときています。山村というのは以外に巨樹が少ないものですが、それは平坦地を有効に使うために樹を切ってしまっていることが多いからでしょう。崖に立つケヤキには、邪魔だから切れ、という話はでないはずです。おまけに、切り立っているので、用材に切ることも考えににくかったのだろうと思います。
樹の前には、村の教育委員会設置の文化財案内板と、神社で設置したとおぼしき手書きの看板があります。手書きの方を見ると、このケヤキは夫婦ケヤキだといいます。なんでも1本に見えて2本だとか。どう見ても合体樹にも見えませんし、どういうことなのだろうか?としばし考えこんでしまいました。
同じ看板によると、この樹の由来は2つの説があり、片方は春日神社のご神木だと言われているというもの。こんな表現、はじめて見ました。ご神木であるのかどうか、確信が持てないのでしょうか?もうひとつは、檜原城主が神事の際に植えた記念樹であるというもの。樹のデータの伝承樹齢はこの説に基づくものです。
村ではこのケヤキを含めて11本の名木を天然記念物として指定しています(うち1本は枯死)。そのうち1本は、ムクエノキと呼ばれているエノキで、先ほどの橋の下にいる背の高い樹です。一緒に訪れるといいでしょう。