すぐ東を多摩川が流れるあきる野市の草花丘陵の南側、慈照寺には都の天然記念物に指定されたモッコクの巨木がいます。
そのモッコクに会いに行った際、本堂の裏手に大きな樹冠が見えました。特徴ある葉の付き方から、タブノキであることはすぐに分かりました。タブノキは温暖な沿岸性の植物で、あきる野市のような丘陵から山地にかかる内陸部に存在するのは珍しいものです。人為的に運ばれ、植えられたものに違いありません。だったら、ちょっと会っていくか、と本堂の裏手に回りました。
すると、意外に太い幹をしているではないですか。そして根元には、既に他の場所でよく目にした、旧秋川市の天然記念物を示す木製の立て札。旧秋川市の資料を入手するのに苦労していた時期だけに、新たな発見に喜びを隠せませんでした。
早速撮影にとりかかろうとすると、これが意外に難しい。南側には本堂が迫り、見上げた構図にしても、樹勢旺盛な葉に隠されて絵になりにくいのです。北側の墓地から構えると、これが逆光になり、葉の色が暗いタブノキは真っ黒になってしまいます。東側からも試しましたが、これもまたいい絵にはなりません。結局、今のところは本堂表から撮る構図がいいという状態で残念なことです。しかし、本物に勝る絵はないのです。それでいいのかも知れません。