(2001年10月掲載)
小平市の大部分は、江戸時代の新田開発によって開かれた場所で、現在も至る所に、その面影の畑や、短冊状の土地区画が残っています。
このクロマツはその新田開発の時代、ある農家が入植の折に植え、新田開発の成功を祈願したものだそうです。同じ時にこの農家は、自宅と、玉川上水に面した海岸寺にもクロマツを植えているそうですが、この2本は既に失われ、鈴木稲荷のこのクロマツだけが残っています。
樹高があるだけに、写真の見た目はひょろっとした感じですが、幹周は4m近い巨木です。高さの方は30m近くあり、小平市の解説板では都内4位の樹高であることを誇っています。健康状態も非常によさそうです。
鈴木稲荷神社の境内は鬱蒼とした樹林で、その多くは献木によるスギ林のようですが、こちらは手入れがされていないようで荒れ放題といった感じです。しかし、境内にはほかに、やはり4m近いカヤの巨木と、鳥居前に相対する2本のケヤキの巨木がいて、新田開発以来の歴史を十分に窺わせるものがあります。