大きなエノキといっても、東京にいるエノキはケヤキほどには大きくなりません。ムクノキもそうですが、エノキは西日本の気候に向いているのではないかと思います。
あきる野市に幹周4mを越えるエノキがいる、と聞き、会いに行きました。近くにはこの地域の中心的な神社である二宮神社があり、また、大きなクスノキの樹冠も見えます。二宮神社には今でも湧水が湧くことから、この辺りが古くからある集落であることが想像できます。
エノキは本堂の左裏手、墓地の端にいました。背後にわずかに本堂の屋根が見えますが、崖のすぐ上にいます。
これは太さもありますが、荒々しい樹だ、という感じがしました。実際には、樹形はそれほど荒々しいものではなく、むしろ整っている方でしょう。第一印象を荒々しく思わせた原因は、太いツルが何本も垂れ下がっているからです。山中の樹であればこういうこともあるでしょう。しかし、お寺の樹にツルが垂れているのは、あまり見かけません。
枝や幹を見る限り、健康状態は良好のようです。崖地という不安定な場所にいる代わり、南側が墓地、東側は低地なので陽の光はよく当たります。近くで水が湧いているからには、地下水も豊富なのでしょう。大きな樹が生きていくには、人の行いもありますが、自然の要素が大事です。危なっかしい崖地でもこれだけのエノキが育つ、それは、そのエノキにとって、そこだからこそ成長してこられたという唯一の場所なのではないか、とも思います。