ムクノキはニレ科の高木でケヤキと非常に近い木ですが、関東にはなかなか大きな樹がいません。大気汚染にはケヤキ以上に弱いことと、関西方面に巨樹が多いことから、恐らくケヤキより温暖な地域を好むのではないかと思います。
都内でムクノキの巨木をもっと見つけたいと思っていたところに、世田谷区名木百選の中にムクノキを見つけました。もちろん都内にはもう少し大きなムクノキもいますが、写真の立ち姿の美しさと、私の自宅からそれほど遠くないこともあって、自転車で行ってみよう、という気になりました。
狛江市と世田谷区の境界近く、水道道路という真っ直ぐな道が走る近くの住宅街に、須賀神社はありました。すぐ南には古墳があるという、のどかな場所です。ケヤキの大木数本とともに、目的のムクノキはいました。
石段の右側に大きく根を張ったムクノキはとても健康そうでしたが、なぜか南に伸びる枝はとても長く、北側には大枝が伸びていません。これは伐採されてしまったのでしょうか。バランスとして良くなく、少し心配です。しかし、根元には大きな板根が発達していて、根元から倒壊することはないでしょう。
かつてはこの樹の洞には大きな鳥が住んでいて、「鳴く木」として有名だったといいます。戦争前に大きな鳥が飛び去り、それ以来鳴かなくなったといいます。大きな鳥とはどんな鳥だったのでしょうか。戦争前ならこのあたりにもフクロウなどがいたことでしょう。鳴く木が鳴かなくなる、それが今の東京の宿命でしょうか、残念なことです。
近くの慶元寺には大きなイチョウやケヤキ、カヤがいます。また、その北西側にある氷川神社の境外地、「喜多見小学校発祥の地」にいるイチョウも素晴らしい樹です。ぜひ訪れて欲しい