JRと西武線が乗り入れる国分寺駅の北口を抜け、ごみごみとした狭いバス通りを歩くこと約800m。自転車屋の角をしばらく進んだ左手の住宅地に祥應寺があります。
正面に本堂、右手に寺務所があり、その奥に巨大なコノテガシワがあります。通常、コノテガシワというと膝の高さほどの低木を想像するのですが、あれは園芸種であって、原産地の中国では高さ20mに達するものもあるといいます。このコノテガシワは、そこまでの高さはありませんが、国内ではかなりの巨木ではないでしょうか。
祥應寺はかつて、JR西国分寺駅の南方にある、国分寺崖線の崖上にあったとされています。ここは、崖下に武蔵国分尼寺があったところで、現在は市の史跡である鎌倉古道の切り通しが残されています。現在寺がある本多周辺が、江戸中期に開墾された頃、開拓農民の菩提寺として請われ、移転してきました。その際、2本のコノテガシワも移植されたとされています。1本は枯死してしまい、後に根株に地蔵尊を彫刻して境内に安置されたそうです。
現在残っているコノテガシワは樹勢もよく、健康な様子が伺えます。訪れた6月下旬にはコンペイトウのような実をたくさんつけていて、ところどころに濃淡の緑のコントラストを見せていました。
この祥應寺、参道にはヤマザクラとシダレザクラがたくさんあり、4月の下旬にはとても美しく参道を飾ります。いちばん本堂に近いヤマザクラの大木は、コノテガシワとともに「国分寺の名木」に指定されています。