鳩林荘は、ブリジストン創業者の石橋家が保有する別荘で、東京競馬場東門の向かいの府中崖線を利用した庭園です。一般には非公開のプライベートな場所ですが、このたび、ある方のお計らいで、とある会合に便乗して庭園内に立ち入らせていただくことができました。そのような事情ですので、皆様が訪れることはできないのですが、このページでこの秘された庭園の素晴らしさを共有できればと思います。
崖線上の萱葺きの山門をくぐると、竹林の向こうに、萱葺きのもの数棟、純和風建築、洋風建築などの建物があります。
中央には幹周4〜5mはあろうかというケヤキの巨樹があり、それを取り巻くようにツツジの植え込みや水路がめぐらされています。雰囲気としては、都立殿ヶ谷戸庭園を大きくし、明るくしたような回遊式庭園の様相ですが、アカマツや竹などはまとまって群植し、非常にすっきりとした庭園を造っています。
大きな池が崖線上と下にあり、複数の水路を伝って上から下へと流れています。 敷地の西の方へ進むと、ケヤキを中心とした鬱蒼とした空間になります。広めに作られた砂利敷きの遊歩道と、狭く作られた石造りの階段がアクセントをつくっています。
市内にはこのような高低差を利用した公園・庭園はほかになく、疑いようもなく非常に貴重な庭園です。まったく非公開というのは残念なことで、できれば年1回でも一般公開してほしいと願います。