鳩林荘は、ブリジストン創業者の石橋家が保有する別荘で、東京競馬場東門の向かいの府中崖線を利用した庭園です。一般には非公開のプライベートな場所ですが、このたび、ある方のお計らいで、とある会合に便乗して庭園内に立ち入らせていただくことができました。そのような事情ですので、皆様が訪れることはできないのですが、このページでこの秘された庭園の素晴らしさを共有できればと思います。
崖線上の萱葺きの山門をくぐると、竹林の向こうに、萱葺きのもの数棟、純和風建築、洋風建築などの建物があります。建物に囲まれるようにある池と芝生とツツジの植え込みの中央に、ケヤキの巨樹があります。池や植え込みに阻まれて根元には近づけませんが、幹周4〜5mはあろうかという大きさです。西側の根元に大きな洞が見られますが、全体として健康で、豊かに枝を広げています。大きさとしては、府中のケヤキの中でも屈指のものでしょうし、美しさの点でもすばらしいものです。
1988年の環境庁による全国巨樹巨木調査では、八幡町の「法人」所有地内に6本の巨樹(幹周り3m以上の樹木)があるとされ、このうちの1本は幹周り440cm、高さ25mとなっています。写真のケヤキは恐らくこの数値のケヤキと思われます。また、敷地内にはほかにも数本のケヤキの巨樹が見られ、豊かな環境が保全されています。