大阪は門真の、いかにも古そうな住宅地。狭くくねくねと曲がる街路の家並みの向こうに、突如大きな樹冠が現れます。その大きな樹冠は、小さな三島神社の社の上をすっぽりと覆って、豊かな葉を茂らせています。衣服の防虫剤として知られる樟脳のかおりと、社に蓋をしたようなその様子から、薫蓋樟と名づけられたとも言われています。大阪府では全樹種でもっとも大きな樹です。
幹の太さもさることながら、その力強い枝振りには圧倒されます。四方八方に伸びた大枝は、所々、クランク状に折れ曲がっています。真っ直ぐ伸びた枝が切られたか落ちたかした後、そこから分かれた枝が大きく成長していったものでしょうか。あまりにも多くの枝がくねくねと曲がっているので、樹自身がそういう意図を持って伸びているのではないかとさえ思えてしまいます。
門をくぐって根元に寄ります。手前に突き出したこぶは枝を落とした痕だといいますが、何ともいえない不思議な出っ張りです。樹皮もクスというより、マツのそれを思い出させます。高さ3mほどから放射状に何本もの大枝が出ている姿はなんとも不思議で、どうしたらこのような姿になるのかと考えてしまいます。枝の曲がり具合といい、想像に事欠かない巨樹で、楽しくなります。