以前、羽村橋のケヤキに会いに行ったとき、すぐ近くの阿蘇神社のシイにも会いに行きたいと思ったのですが、その日はもう薄暗くなっていたので断念。それ以後、ずっと気になる樹として私の心の中にいた樹に、ようやく会いに行ったのは、8月の半ばの晴れた日でした。
多摩川沿いの雑木林を抜ける南参道を歩いていくと、石造りの鳥居と階段が見えてきます。階段を昇り、正面の社殿左手に、シイの巨樹が待っていました。
社殿の左手、つまりこれは多摩川の段丘がある方なのですが、この僅かな空間に巨大な幹が根を張っています。崖の下には用水路が流れていて見上げることができず、崖の上からは社殿などが邪魔してなかなか樹全体を眺めることができません。
樹自体も、実はあまり状態はよくありませんでした。1966年の台風で大枝が折れたといい、表面のかなりの部分をコンクリートあるいは樹脂で覆っていて、支え棒にも頼っています。だいぶ葉が茂っているので心配されるような健康状態というわけではありませんが、だいぶ疲れている様子が伺えます。
周辺環境は開発もされていないし、それほど悪いとはいえません。対岸には下水ポンプ場はありますが、影響を受ける位置関係とも思えません。樹齢が1000年を超えるともいわれ、寿命も近いという人もいます。それ以外にも、社殿が樹を圧迫しているように、私は感じました。すばらしい樹なのに、場所が狭くて残念な気がします。