青梅街道と奥多摩街道の立体交差に近い住宅地の崖に、千ケ瀬神社がありました。中学校の脇を南北に伸びる参道を抜けると、立派な社殿と、その左手に斜めに立った立派なスダジイ。
支え棒に支えられながらも旺盛な樹勢を見せるスダジイを前に、これが千ケ瀬神社のスダジイかあ、と一頻り感心し、ぐるぐる歩きながら見上げたり、写真を撮ったりして、さあ、帰るかと思ったとき、社殿の奥の斜面林にひときわ大きなスダジイを見つけました。実はこちらが青梅市天然記念物の「杜のシイノキ」だったのです。
社殿の右手に回ると、解説板もあります。シイノキは急峻な斜面のはるか上にあり、そこまで登って根元に立ってみると、なるほど先ほどの斜めのスダジイよりもかなり大きいことが分かります。実際、市内最大のスダジイであることが、解説板に記されています。
しかし林中の巨樹とあって、その全体像はなかなか分かりにくいものがあります。残念ながら、私には、大きさでは素晴らしい樹だとは思ったものの、樹そのものの美しさなどの点で、社殿左手のスダジイより印象に残る点はありませんでした。実際、あとで見た師岡神社の2本のシイのほうが、より大きく立派に感じたものです。
有名な巨樹・名木は、その多くが単独樹で、ひとめでその大きさや美しさが分かります。しかし林中のものとなるとそう簡単には分かりません。その点で私の目にはまだ見えていないものが多いのだろうか、などと考えさせられた樹でした。
→こちらが社殿左手にあった「斜めのスダジイ」。痛みはあるが迫力のあるシイでした。