海舟遺愛のイチョウ

 都区内はイチョウが非常に多くあります。都の木に選ばれているのは、古くからのイチョウの巨樹が多いことが理由だと思います。古い樹が多いのは、イチョウの生命力によるものが大きいでしょう。スギやケヤキの老木が生きるには、都区内の環境は厳しすぎます。

 それらのイチョウは、多くが寺社の境内にあるものですが、このイチョウはもと小学校らしい建物の敷地にありました。校門の脇にすっくと立っているところを偶然通りかかって見つけたのですが、確かにめちゃくちゃ大きいというわけではないにせよ、歳を経た風格が感じられます。

 後になって偶然知ったのですが、実はこの場所、幕末の幕府海軍を率いた勝海舟が晩年過ごした屋敷跡で、このイチョウも勝海舟が愛でたものだそうです。勝海舟が生きた時代にも相当な大木に育っていただろうこのイチョウ、だいぶ枝に手が入れられた様子があるのは、市街地に生きる樹の運命でしょうか。ちょっと悲しいですが、生き残っていてくれて、ありがとうと言いたいです。

 現在、区の武道場として利用されている小学校校舎、近々、特別養護老人ホームに建て替えられるようです。繁華街にも近いこの場所で暮らすだろう入居者の方々も、このイチョウを見て心和ませるのではないかと思います。

 今回私がこのイチョウを見つけたのは、山王日枝神社から赤坂氷川神社へ向かう途中でした。双方の神社にはさらに大きなイチョウがあります。ぜひイチョウめぐりを楽しんでください。

 

海舟遺愛のイチョウ

場所 港区赤坂6丁目6番地17 港区立氷川武道場
交通 東京メトロ千代田線 赤坂駅 徒歩5分
保護制度 東京都旧跡(勝安房邸跡)

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