以前、日本の巨樹・巨木掲示板のオフ会幹事を担当した際、コースの下見中に見つけたのがこのイチョウ。
東京大学のキャンパスはかつて、加賀前田家の屋敷だったことだけあって、三四郎池など大名庭園の名残も感じられますが、何と言っても創立百数十年を越えるだけあって、創立当時に植樹されたイチョウやケヤキ、クスノキなどは、もの凄い大木に成長しています。
このイチョウは、正門から安田講堂へ伸びるイチョウ並木に、途中でクロスする別のイチョウ並木の突き当たりにいて、工学部一号館の正面にロータリーを得ています。周辺空間が広く取られているので、イチョウは非常にのびのびと枝を広げています。樹形は非常に整っていて、若い樹のようにも見えますが、根元に近づいてみれば、その幹の太さにはビックリするでしょう。
大学の資料を精読すれば何らか情報が得られるとは思いますが、このイチョウが、その当時植樹されたものかどうか、現時点では分かりません。ただ、おおよそ5mを越える幹周を持つこのイチョウが、たった100年ちょっとでこれだけの大きさに育つかは疑問で、加賀藩時代からの樹ではないかという気がします。だとしたら、その巨樹を中心にロータリーを造り、建物の配置を決めていったことになります。先人の、先見の明というか、キャンパス計画の素晴らしさには脱帽です。