府中街道沿いにある梅岩寺の山門を挟んで、2本の巨樹がそびえています。右にカヤ、左にこのケヤキです。
最初にこのケヤキを訪れたのは、まだ葉をつけていない寒い時期でした。常緑のカヤは当然、青々とした葉を茂らせ、マントをひるがえしたような姿で優美でしたが、ケヤキの方は奇っ怪な姿を見せていました。数本の大枝が放射状に広がって、それが途中でバッサリと切られています。まるで何者かの手のようでした。
(余談ですが、アンソニー・ホプキンス主演の映画「タイタス」で、ひどく凄惨なシーンがあるのですが、それを思い出してしまいました。)
山門をくぐり、幹をじっくり観察すると、岩のようにごつごつとしていて、驚かされます。長い年月の間、大きな枝が落ちたり、その跡がもりあがって隠されたりしてきたのでしょう。優美さとは対角に荒々しさ。それが、隣のカヤとの絶妙なバランスとなっているようです。もちろん、単木としても、惹きつけられるものがあります。
葉が茂った5月半ば、再び梅岩寺を訪れました。奇っ怪な手は若葉から透けてわずかに見えるのみ。荒々しさは薄まりましたが、年を経た表情がそこにも感じられました。
梅岩寺にはほかにも、なかなかの大きさのケヤキが何本もあります。
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芽吹き前のケヤキの幹。
ごつごつとした幹が年月の経過を感じさせる。
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