立川といえば、北多摩でも歴史ある農村地帯でしたが、現在はビルが立ち並ぶ商業地域となっています。立川がお好きな方には申し訳ありませんが、私は緑地という緑地をなぎ払い、川という川にフタをした立川という街が好きになれません。発展のために、そこにあるべき自然をすべて排除してしまった、ひどくいびつな街という印象があるからです。
その立川にある、ほとんど唯一の巨樹がこの八幡神社大欅。JR立川駅から歩くと、諏訪神社社叢を右に眺め、三叉路を右に進み細い住宅の間を抜けたところに突如現れます。よく生き残っていてくれたなあ、という思いでほっとさせられます。
しかし、ここには神社などまったくなく、住宅地の中の狭い敷地にぽつんと立っています。実は八幡神社は1907年に諏訪神社の境内に移転してしまって、参道の脇にあったこのケヤキだけが取り残されてしまったのです。
樹そのものはどうやら2本のケヤキの合体樹のようです。1955年の調査記録では樹高28mと高い樹だったようですが、台風の被害に遭い上部が折れてしまったとのこと。その後不朽が進んだのでしょう、北側の幹には、合体部分の癒着が割れてきている様子が伺えます。
南にある奥多摩街道を渡りしばらく住宅街に入ったところには普済寺というお寺があり、ここには2本のイチョウと1本のケヤキの巨木がありましたが、現在はケヤキは失われ、イチョウも上部を切断された無残な姿をさらしています。
また、奥多摩街道を西に1.5kmほど行った昭島市の郷地交差点近くには、郷地の大ケヤキがあります。