品川宿の街道松

 江戸時代の旅人は、遥かな道のりを自分の足のみで旅していきました。それは、生きて帰ることのできない旅であることも少なくなかったでしょう。街道が整備されていくにつれ、旅人を日差しや雨風から守るため、あるいは目印として、街道沿いには様々な樹が植えられていきました。有名なものは、日光街道や箱根に見られる杉並木がありますし、一里塚に植えられたエノキがあります。

 その時代の雰囲気を取り戻そうという試みか、品川区の旧東海道沿いにはいくつかのマツが、最近植えられています。

 まずは右の「保土ケ谷の松」。横浜市保土ケ谷区の保土ケ谷宿から贈られたものだそうで、立て札が平成11年となっていることからも、まだ若木であることがお分かりいただけると思います。枝ぶりがとても美しいマツです。場所は青物横丁駅近くの品川寺の門前。このお寺には区の天然記念物に指定された立派なイチョウもいますので、ぜひお忘れなくお立ち寄りください。

 

 

 こちらはやや大きなマツで、浜松市の個人から贈られた「品川宿の松」。樹齢は80年ほどだそうで、高さは約4m。南品川2丁目の公園の入口にいて、斜めになった幹を道路側に向けています。公園の名はその名も「街道松の広場」。約200m南にも別のマツがいるそうですが、見落としてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 こちらは滋賀県甲賀郡土山町から贈られたマツ。北品川の聖蹟公園の入口にいます。ここは品川宿の本陣跡で、後には明治天皇行幸時に行在所となったため、聖蹟となっています。ここが品川宿の中心ということですね。

 

 

 

 いずれのマツもまだまだ若木ですが、街道にマツをという趣旨、それをきっかけにかつての宿駅どうしが交流をするというのはとても素晴らしいことではないでしょうか。しかし、これらのマツに掲げられた看板に書かれた文言が気になります。

「今後、品川宿の松として30年、50年と地域の方々と共に育てていきたいと考えております。」

 ちょっと待て〜。桁が一つ足りないぞ!マツの生命はもっと長いのだから、そんな人間の一生よりも短い時間を掲げないでくれ、と言いたいです。

 

品川宿の街道松

場所 品川区南品川・北品川 旧東海道沿いの数箇所
交通 京浜急行線 新馬場駅 または青物横丁駅
保護制度 指定なし

Mapionで場所を確認する。
ポイントはマツそのものの位置ではなく、旧東海道を示しています。


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