日影のトチノキ

 ずいぶん昔になりますが、大学の同期に誘われて、日本百名山のひとつ、瑞牆山に登ったことがあります。その頃は樹に興味などなく、その登山口までの途中にこんな巨樹がいるとは夢にも思わなかったものです。

 「日本の巨樹巨木」の掲示板でおつきあいのある方に誘われて、山梨の巨樹巡りに行ってきました。増富ラジウム温泉の近く、日影集落のはずれにいるトチノキは、全国的にも有数の大きさを誇ります。案内板に沿って廃田のあぜ道をたどり、林縁の角を折れた正面に、どっしりと構えた巨樹が見えたときには、それは驚きと感動で息が詰まりました。

 幹の中央に縦の筋が走り、中央の幹というものがないので、数本からなる合体木のように思えます。それぞれの幹が放射状に広がっているので、樹冠が広がり、横への迫力を感じます。

 標高が高いせいか、10月中旬の訪問にもかかわらず、かなり葉が落ちていました。しかし、同日訪れた初狩の藤沢子神社のトチノキはまだ青々と葉をつけ、大きなトチの実をたくさん落としていたことから考えると、落葉が早かったというよりも、巨体を支えるためにエネルギー消費を抑えているのでは、という気もします。日影のトチノキには実がぜんぜん見当たらなかったですし。あるいは既に集落の人々によって拾われてしまったのでしょうか。

 樹の前には小さな石の祠がひとつ。ここは2つの集落の境界にあたり、両集落が共同でこの樹を守護神として崇めているとのこと。祠の中には大きな●●が。そう、山梨県って有数の●●の産地なんですよね。森の神様への供え物ですから、くれぐれも手を出さないように!

 

 須玉の市街地から日影のトチノキへ向かう道のほぼ中間点あたりには、国の天然記念物に指定されている、根古屋神社の2本のケヤキがいます。こちらもぜひ訪れてみてください。

 

 

 

 

日影のトチノキ

場所 山梨県北巨摩郡須玉町比志字下平4932-1
交通 中央自動車道須玉インターチェンジから増富方面へ車で30分
樹のデータ 幹周8.4m 樹高約30m 推定樹齢
保護制度 山梨県指定天然記念物

Mapionで場所を確認する。


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