ブナは最近特に注目されている樹ですが、その分布は主に日本海側の標高500〜1000m、太平洋側では更に高くなります。
ところがそのブナが数本、標高600mに満たない高尾山にもあります。これは江戸時代、世界的に寒冷な気候だった頃に発芽したものといわれています。つまり、現在あるブナが種子を残しても、気候が温暖になってしまったために、今では発芽しないと言われています。
ですから、今あるブナの樹はとても貴重な樹なのです。そして、貴重な上に目を見張るばかりの立派な巨木が、ほとんど歩かなくても見ることができるのです。というのも、写真のブナ、麓からケーブルカーに乗って山上の駅で降り、ほんのわずかのところにあるのです。これは一度、ぜひ見ていただきたい樹のひとつです。
高尾山にはほかにも、奇妙な根を持つ蛸杉や巨杉並木、東京最大の飯盛杉などのスギの巨樹群やクヌギ、カゴノキ、モミノキの巨木、美しいカツラの人工林があり、飽きさせません。残念なのは人が多すぎることでしょうか。