クスの仲間ですが、クスより材質が劣るためか、不要という意味で「イヌ」をつけられた可哀想な樹です。正しくはタブノキといい、暖地の海岸によく見られる樹ですが、なぜか内陸のこの地にあります。
青梅街道をもっと西に進んだ、奥多摩町古里付近にはタブノキの巨樹が多くあり、青梅街道沿いの古里附のイヌグスなどは幹周8.07mと、東京都の全樹種中でも5指に入る巨樹があります。この地方が古い時代に茨城県鹿島あたりと交流していたのではないか、という説がありますが、いずれにしてもクス科の樹自体が東京近郊では自生しないので、自然植生でないということは多くの人の一致した意見です。
正直なところ、奥多摩のタブノキの巨樹を先に見ているので、横吹の大イヌグスに「大」とつけるのはおこがましいのでは、と思うくらい、大きいとは思えない樹です。ただ、古里周辺とは若干離れた場所にぽつんと立っているタブノキを見ていると、かつてこのあたりはどんな集落だったのだろうかと気になったことは事実です。
青梅街道を奥多摩方面に向かうと、石神前駅の手前に多摩地区有数のイチョウである、石神の大イチョウに出会えます。