現在の笹子峠は長いトンネルをくぐる道ですが、旧甲州街道の笹子峠はくねくねと登る1車線の舗装路です。矢立スギは、峠の少し大月寄り、道路近くの登山道沿いにいます。
これまで私が会ってきた最大のスギは、塩船観音寺の大スギで、これも相当大きいとはいえ、幹周では矢立スギの方が2mも上回っています。根元に立つと、その迫力は凄いものです。
以前見た写真で、向こう側が見えているくらい大きな空洞が根元にあるのは知っていました。訪れたときには、空洞は片側にしか開いておらず、後から土を盛ったように思われます。
しかし、手前の大きな空洞はかなりの大きさで、試しにもぐってみたところ、内部は完全な空洞になっていて、20mほど上の方に空が見えているのには驚きました。その様子は下の写真でお分かりいただけると思いますが、いかがでしょう。
内部は大人が数人入ることができるほどの大きさです。火を焚いた跡があり、内壁は黒く焦げています。悪戯でしょうか、あるいは腐朽防止のための措置でしょうか。
いずれにせよ、根元も朽ち、内部も完全な空洞で、皮の部分だけでこの巨体を支えているのは、巨樹ならではの省エネルギー法とはいえ、驚かされます。
訪れた2001年10月中旬には、笹子峠の旧甲州街道は土砂崩れのため通行止めになっていましたが、大月側からであれば、矢立スギの直近まで自動車で侵入可能です。車止めがありますが、通っても構わないようです。旧甲州街道からは、2箇所入り口の看板がありますが、峠に近い(上のほう)から歩かないと、大変な目にあいますのでご注意ください。
この近くには、大月市の天然記念物に指定されている、樹高の秀でた藤沢の大スギと美しいトチノキがいますので、こちらもぜひお立ち寄りください。